「おかあさんといっしょ うたのリクエスト 春スペシャル」。
この歌知ってる、と気付いた曲は『まほうのラララ』だった。
2022年2月の今月の歌だったそれは実家で観たんだった。
1ヶ月検診を終えた後に里帰りをしていた、冬だった。
生後1ヶ月の子と昼夜無く暮らす生活は、産褥期の身体を痛めつけるだけでなく次第に心をも蝕んで、子を抱えて泣くことも多い、暗い日々だった。
そんな時に母がつけたEテレで『まほうのラララ』を歌っていた。
あの頃はまだ18時台じゃなかったんだよね。本格的にEテレを見始める前だったから、時間変更も自分に関係がなかったなぁ。
まもなく卒業するというあつこおねえさんと自分は一瞬すれ違っただけの存在となったが、あの時、自分が育ったあの居間で、子どもに向けた新しい歌を聞いたな、という記憶は残ったのだった。
そして今年2月の『キミにはくしゅ!』。
ゆういちろうおにいさんかと思いきやまことおにいさんの卒業ソングだったこの歌は、聞けば聞くほどに良い曲で、ゆういちろうおにいさんからの「贈る曲」であると見方が定まったことでますます沁みるようになった。
そしてなにより、この歌がテレビで流れると、我が子が拍手をするのだ。
パチパチパチパチ。1番サビが始まると、力強く手のひらを叩く息子。
歌詞の内容が分かるんだ。促される拍手を一緒にやれるんだ。おにいさんおねえさんたちの真似をできるんだ。
かわいいのも勿論だけど、その発達が確かなことが母の胸を打つ。
「リクエスト春スペシャル」ではその2曲が続けて流れたのだった。
『まほうのラララ』で新生児の風景がよみがえり、そして現在の『キミにはくしゅ!』が次に来たことで、育児の始まりからの1年が自分の連続したストーリーのように感じられ、ぐっと来るものがあった。
今の我が子は、ただ寝っ転がって、首を画面に向けただけで「テレビを観てる!」と大はしゃぎした生後1ヶ月とはまるで別人のよう。
いつのまに、ここまで大きくなったんだね、と、涙がにじんだ。
1年。何も為せていないわけじゃない。この子が1日1日育った結果が、わたしが1日1日育てた結果が、今日のこの日なんだ。
楽しそうに響く拍手の音は、母にとって、子どもの成長という何にも代えられないプレゼントだった。
うまれてきたことに はくしゅ
「ありがとう」をこめて はくしゅ