手をつないで、踊り明かそう

ポルカダイアリー

並んで歩く雨上がり

お手々をつないで、お散歩できた。

時間にして10分少しだろうか。

家を出て、大きい通りまで出て、ちゃんと歩道を歩いて。まるで危ないことはなかった。前後から車が来たら手を引いて避けられたし、多少水たまりに入っても手を引けばすっと離れられた。奇跡みたいな時間だった。

 

いつものお散歩の時間に、今日は雷雨だった。

夕方、普段は「まだ暑いよ」と宥めてはなんとか17時を越してからお外に出るというのをやっているけど、今日は言うまでもなくお散歩できなかった。

不服そうに家で遊ぶ息子。すると、17時過ぎに雨は止んだ。青空が見えてきた。そして比較的、涼しい。

今からお散歩に行くよ!と興奮して玄関まで出た。

 

思いがけず、子が手に取ったのは、傘だった。

いつものように三輪車に乗せようとしていたが、その可愛らしいスガタヲミテ迷った。そして、もう片方の手を差し出された瞬間、よし、歩いて行くか!と言っていた。

午前は買い物に行って大人しくカートに乗っていてくれた借りもある。久しぶりに、好きに歩こう。

雨や暑さに振り回されて鬱屈していたのはわたしもだったのかもしれない。 

 

歩き始めて少しして、ヒップシートを装着し忘れてきたことに気付いた。

公園など、歩く時には必須である。三輪車の時でさえ、展開に用心して装着することすらある。

調子よく、傘をカタンカタン鳴らしながら歩く息子。雨上がりの空。湿気を含んだ温くも心地良い風。

ま、いっか。と、そのまま子の手を握り歩き続けた。

 

意外や意外、すぐにヒップシートの出番は来なかったし、何処かに駆け出していってしまうこともなかった。

危なげなく道を曲がり、嘘みたいに歩道を歩いた。

その奇跡みたいな10分間、わたしはひたすら幸福を噛み締めていた。

嗚呼、子どもを持つって、こういうことだ。

手をつないで歩いてくれる。小さくて大きな手のぬくもりを、後生大事に生きていこう。

あたたかさを、幸せを、心で抱きしめていた。

 

そして、コンビニの前まで来ると、横断歩道の無い車道を渡ってあっちに行きたいと主張を始めたので、手はつなぐものではなく引っ張り返すリードになった。

絶対に曲げられない意志VSそれだけは許可できない理性。結局、攻防戦の末、抱えてその場を離れることになった。

家へ向かう方角を彼はよく知っている。こっちへは行かないぞ、断固として行かないぞ、という強い抵抗。抱っこからも腕を突っ張り脚を突っ張り逃走する。感心するがこちらも家に連れ帰らねばならない。

ヒップシート、やっぱり必要だった。でも、なんとかなった。

後半は、三輪車導入前と同じく激しい攻防戦となったがそれもまたきっといつかは懐かしさとなるでしょう。

あなたと同じくらい、実はそれ以上に、母も夕方のお散歩は幸せな時間なんだよ。