手をつないで、踊り明かそう

ポルカダイアリー

8ヶ月バースデーの日に

お隣さんが家を建て壊すというニュースに驚いた。何故なら更にそのお隣さんも今現在まさに建て壊し作業中なのである。2軒揃っては偶然とのこと。

マイホーム検討中の我ら一家。宅地として売り出したりするなら土地探しの手間が省けて手っ取り早いんだけどな、などと下心を持って「何か建てるんですか」と訊ねてみたら、近隣施設用の駐車場になるとのこと。ちぇっ。

 

何故そんな話が飛び込んできたかというと、普通に話しかけてもらったからである。

しかし、引っ越してきてこの方何年も経つが、そこのおうちの方とはお話をしたことがなかったので非常にレア。お話してくださったところによると、ご実家を出られてその方のお住まいは別にあるとのことで、今までお見掛けしてなかったのも納得。おそらく一人で住んでいたおばあさん、亡くなったのかな。

その後もたまに見かけては「話しやすい奥さんでよかったわ~」などと話しかけてくれるようになった。すっかり顔見知り、という関係。うれしいな。

 

赤ちゃんを連れて平日日中に家の出入りをするようになって、突然ご近所付き合いというものが発生してきた。

道を挟んだお向かいさんは、娘さんも、ベビーカーに乗った我が子にバイバイしてくれる。この家に、この人あり、と把握して仲良くしてもらっている。まさにこの地に暮らしている実感がある。

これまで引っ越しや子どもが産まれる挨拶は同じ賃貸住宅の住人たちに向けてだけ行ってきたが、どっちかっていうと、こっちだったな。

 

 

その後、公園に行くといくつかの母子連れグループがいた。各々で遊んでいる。ベビーカーで公園内の道を歩きながら、どちらからともなく挨拶を交わす。

そのうちの1組とは立ち止まってほんの少しだけ会話もした。暑い中、いきいきと走り回る男の子。帽子被ってくれないから時々頭にこうやってるんです、と、水鉄砲を見せてくれたのが面白かった。

 

 

その日、赤ちゃんせんべいを初めて食べてもらった。初めてなのに、いきなり一人で上手に1枚食べきってて、すごい。感動した。

実家の母が、荷物と一緒に送ってきたおもちゃのラッパを渡してみた。対象年齢8ヶ月~だったが、流石に、無理だった。でもいつか、吹けるようになるだろう。「ラ」の音が鳴るというその瞬間を楽しみにしている。

恒例の月齢フォトも撮った。撮影ポジションから頭や足が余裕ではみ出す。寝返りとずりばいでじっとしていてくれることはない。7ヶ月バースデーで生み出した、お宮参りでもらったでんでんだいこで気を引くやり方でなんとかパチリ。

 

 

この日。子どもが、生後8ヶ月を迎えた。

 

生後5ヶ月頃に寝返りをしたのを皮切りに、出来ることが日々増えていきっぱなし。

最近はつかまり立ちどころか、片手離しはお手のもの。たまに両手離しもする。

明確な"たっち"はいつのことだろうか。もう、そんなに先のことではないんだろうな。

 

我が子のかわいいところ。

ママやパパを見ると、嬉しそうに笑ってくれる。

身体を使って遊んだり好きな言葉で構ってあげたりすると、どうしてそこまでというほど、ウケる。

にぱっと笑う顔も、爆笑する顔も、たまらなく大好きです。

 

 

そんな中、パートナーにねだって「出産おめでとうケーキ」を買ってもらった。

出産後、退院祝いに「花束、ホールケーキ、お寿司」の3点セットをリクエストしていて楽しみにしていたのだけど、年末年始にかぶって店がお休み、揃えることができなかったと報告された経緯がある。

その後の生活で甘いものを食べる機会もあったし、まぁいいや、とも流していたのだけど、これって叶えられなかった夢として一つわだかまりが残ってしまうんじゃないかとある日ふいに思った。

80歳になった時に「あの時…」と悔いるかもしれない。もしかしたら、夫に言って「今更!」と怒らせてしまうかもしれない。

そうなるくらいなら、まだぎりぎり産後とも呼べなくもない今の時期に「出産祝いという名目のケーキ」をプレゼントしてもらおうと考えて伝えていた。

夫は、子どもの8ヶ月バースデーに合わせて、ケーキを買って帰ってきてくれた。

 

妊娠、出産、育児。

 

あの時は「妊娠中、食べ物を我慢していたわたしのために!」「出産をがんばったわたしのために!」と思っていた。退院後のケーキは、いわば自分へのご褒美であり、妊娠生活のゴールの象徴であった。

だけど今は「夫とわたし、2人居たから子どもが授かれたんだよね。わたしがママになって大好きなこの子に会えたのは、あなたのおかげ」と自然に思えるようになった。子どもへの言祝ぎと、夫への感謝のケーキになった。

 

こんな思いをもって、改めて出産を祝えてよかった。

今更だから、と諦めなくてよかった。

わたしたちはまだ、はじまったばかりです。