手をつないで、踊り明かそう

ポルカダイアリー

パンの詰め合わせ

買い物というのは偏る。

 

たとえば、夏物全般ショッピングのつもりがサンダルを複数買ってしまったり。

生協宅配で来週届くよう手配したものとほぼ同じものが今週届いたり。

欲しいもの、必要なもの、足りないもの。脳は自然とそっちに引っ張られて、バランスの良い買い物だなんてことはなかなかできない。

いつも行くスーパーでも、あんなに品数があるにも関わらず買うものはほぼ決まって同じだなあと思う。

 

 

今朝はレーズンロールがある。

先日、レーズンロールのつもりが普通のロールだったことがあった。買う時に、隣に置いてあった商品と間違えたのだろう。

食べるたびに甘さが物足りないと感じていた日々だった。その失敗を糧に、昨日はきちんとレーズンロールを買った。

 

焼いて食べたところ、それは確かにレーズンロールだったので、よしよしと満足しながら2個。

 

しかしながら、なんとなくお腹が満ち足りていない。

なんだろう、すごくパンが食べたい気分だ。

 

そういえば、昨日は新しく食パンに塗る用のチョコクリームも買ったんだった。

トーストを焼いてそれを塗るか、と準備しながら昨日の偏った買い出しを思い出す。

 

 

昨日夕方、おやつのパルム(チョコレート×チョコレート味)を食べてからスーパーに買い出しに出た。

買い物メモには「アイス、ジャム、シリアル」とあるが、売り場で目に付いた商品を取っていった結果、会計前、かごにはチョコアイスサンドとチョコクリームとチョコワが入っていた。

 

いや待て、これは流石にチョコすぎる…と思った。

まだ口の中にパルムのチョコの香りが残っているがために、チョコに引っ張られたのだろう。

 

しかし、ネットショッピングや通販とちがって、一度かごに入れた商品をかごから出してバランスをとるのは難しい。

今この新しい商品を買わなくてもいいけれど、今度来た時にそれをわざわざ探すこともないだろうと思うと、やはり今買っておくほうがいいだろうと思える。実店舗には「あとから買う」は無い。

それに、広いスーパーの中をまた歩いて戻るのも、選び直すという思考コストも非常にしんどい。

というわけで、たまにはいいかとチョコだらけで買い出しを終えたのだった。

 

 

そんなことを思い出しながら、トーストにはまだいちじくジャムが少し残ってはいるが、チョコクリームを試してみることにした。

レーズンロールを焼いた温かさが残っているフライヤーに放り込んで焼き、スプーンで伸ばすとこれが気持ちいいほどによく伸びる。

チョコクリームはチョコスプレッドともいうよな、と「spread」という単語の意味について連想する。

 

美味しいチョコトーストを頬張りながら、ぼんやりとパンばかりのフルコースについて想いを馳せた。

「レーズンロール2個にトースト1枚って!朝からひとりパン祭りかよ。さまざまなパンを詰め合わせました、みたいなさ」と考えていたところで、あ、と気付いた。

 

冷蔵庫に、パンのお楽しみ袋があったのだった。

 

 

お楽しみ袋とは、スーパーのベーカリーコーナーにて数個のパンが袋詰めにしてまとめて売られているもので、要は「売れ残りの詰め合わせ」である。

単品同士で買うよりお安い。賞味期限が近いからである。更に昨日は買い物に行ったのが夕方だったので割引シールが貼られていた。

「パンがいっぱい食べられたらいいな」と思って、昨日のわたしはこれをかごに入れたのである。

 

みたいな。どころではない。

まさに「さまざまなパンを詰め合わせました」が既にこの家にはあった。

賞味期限のことを思うとこれを真っ先に食べるべきであったと気付いても、既に腹は満ちている。

昼食が決定した瞬間である。

 

そもそも、食パンに、レーズンロールに、お楽しみ袋。

パンがやたら多いんだよ、今のこの家。誰だよ、買ったのは。

 

もちろん、全部欲望にまかせて買い物したわたしのせいだ。

 

買い物というのは、偏るものである。