手をつないで、踊り明かそう

ポルカダイアリー

誕生日ギフトは新たな出会い

我が子とわたしは生まれ日が同じである。

ということは年に1度、子の月齢バースデーとわたしの誕生日が重なる。重なった。今日だ。

 

おめでとうをあなたに。おめでとうをわたしに。

 

相も変わらず夜間に泣く子を抱き上げながら、日付が変わったことを感じ取っていた。

わたしたちのめでたい日は朝からではなく、真夜中からはじまる。

 

 

誕生日とはいえ育児は休みなし、朝から支援センターに出かけた。

人数制限を行っているため、当日朝に電話予約の手順が必要な施設だ。その分ゆったりと安心安全に過ごせるものの、思い立ってすぐ出かけられないハードルの高さがある。

今日は、事前に決めていたから予約開始時刻に電話を掛けられた。無事に受付番号をゲットし、ゆったりと朝寝をさせてから向かった。

 

体調不良、それから他の児童館を開拓していたことなども重なり、少し久しぶりに訪れた。

今までの印象とは違い、人数も少なく静かだった。どうやら走ったり喋ったりする年かさの子たちは一人も来ていない模様。

今日来てるのはみんな同じ学年の子たちですよ、と職員さんがお互いをつないでくれる。

 

そのうちの一人、ハイハイで人懐こく寄ってきてくれる子がいた。名札を見ると、どことなくおぼえのある名前。脳の回路を可能性が巡る。

 

「もしかして…?」と声に出し、親御さんの顔を見る。

わたしのリアクションを受けて、相手のお母さんも「もしかして…?」と返す。

 

その、もしかしてだった。夫同士が同じ職場の、間接的に名前を聞いている、初めて会う知り合いだった。

同じ市内に住む同い年の赤ちゃん同士、いつかどこかで出会うこともあるだろうとは思っていたが、今日ここでとは予期していなかった。

瞬時にテンションが上がり、親しみが一気に沸いた。お噂はかねがね!

 

 

その赤ちゃんは、とてもコミュ強だった。

泰然自若とでもいうべき安定姿勢でどっしりと座り、周囲を関せずお気に入りのおもちゃで遊ぶ息子。そこに寄ってきてくれる、どころか微笑みかけてくれる。

 

子どもって、子どもを見て笑うんだ…!

 

「この子、子どもが好きなんです」とのことで驚いた。そんな子どもがいるのか…!

いやしかし、うちの子は他の子が近くにいてもこんな風ににこにこしたりしないんだよな…と思っていたら、微笑みかけられて嬉しそうに、にこっ。えっ!

息子がおもちゃをぐいぐいと押し付けたり、その子がそれを喜んでいるように見えたり、0才児同士で成立するコミュニケーション。

いつのまにやらまた、子が親の予想を超えていた。

 

離れて遊ばせていてもいつのまにかまた近くにいる。

うちの子が遊んでいるおもちゃに、可愛らしく寄ってくるその子にわたしもめろめろ。なんて愛らしい!

上から下へ折り返しながら降りてくる車のおもちゃを、2人並んで目線を左右に追っている姿はたまらないなんてものじゃなかった。

声を出し、それに答え、喃語同士でおしゃべりするだなんて、知らなかった。

あなたたち、実はずっと前からお友達だったの?遺伝子が知り合いだったの?って母親2人驚き合った。

もし家に双子の赤ちゃんがいたらこんな風に育つんだろうか。

奇跡みたい、と思った。今後当たり前のようにお友達と過ごすようになると、きっと奇跡とは感じなくなるのだろうけれど。

 

穏やかな空間だった。

クリスマスツリーの飾りを制作させてもらえて、飾ってくれた。子どもが選んだ赤い水玉模様のリボンをてっぺんにつけた。

おもちゃの取り合いもなく、そっちはだめだと止めることもほぼなく。水でおえかきするおもちゃも初めて触って、おもしろかった。

こんな少人数の日があるとは知らなかったし、職員さんも初めて自分の子の話をしてくれたりして嬉しかった。

今度のクリスマス会のお知らせをもらって、招待券を受け取った。次の楽しみができた。

 

ああ、なんだ。

休日無しな育児だけど、子のための外出でハッピーになれて、わたしラッキーじゃん。

 

母になって初めてのバースデー。

この年になっても新たな出会いがあるって幸せなことだ。

子が、夫が、もたらしてくれた今日という日の恵みに感謝した。

 

今日出会った人たちはわたしの誕生日を知らない。だから、わたしに「おめでとう」と言ってくれることはないけれど、子を慈しんでくれる。

それだけで充分に、あたたかなギフトだ。